2011/11/12 日本経済新聞 朝刊 1ページ 475文字 書誌情報
オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題で、東京地検特捜部は11日までに、疑惑解明の態勢づくりに向けて、警視庁、証券取引等監視委員会と協議したもようだ。同社による不正な経理処理の詳細を明らかにするには、3者の連携が不可欠と判断、合同で実態解明を進める方針を確認したとみられる。(関連記事3、9面に)
特捜部と警視庁、監視委が合同で解明作業にあたるのは異例。金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などの疑いもあるとみて調べを進める方針。
複数の関係者の話によると、特捜部は警視庁捜査2課のほか、監視委で有価証券報告書などの適否を調査する開示検査課と協議。現場レベルの担当幹部が解明作業を進めるうえでの役割分担や、関係者の事情聴取や聞き取りを始める時期などについて話し合ったという。3者の連携は特捜部が中心になって調整を進め、同社の第三者委員会が調査結果を公表する来月上旬以降、本格解明に乗り出すとみられる。一連の問題に関連した個人や法人に所得隠しなどの疑いが浮上すれば、国税当局にも協力を要請し、捜査・調査態勢が一段と拡大する可能性もある
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オリンパス損失隠し、前社長ら聞き取り、監視委など方針。
2011/11/12 日本経済新聞 朝刊 3ページ 775文字 書誌情報
オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題で、東京地検、警視庁、証券取引等監視委員会が11日までに連携を確認したことを受け、不正な経理操作の全容解明に向けた動きが本格化する。監視委やオリンパスの第三者委員会は同社経営陣などから話を聞く方針。大株主の海外ファンドなどによる経営責任の追及も強まっている。(1面参照)
オリンパスは含み損を抱えた運用資産を切り離し、その一方で外国銀行の預金や債券、ファンドなど4種類の実体を伴わない資産を貸借対照表に水増し計上する手法で損失の表面化を回避。企業買収に絡む資金で損失を穴埋めしてきた。
こうしたなか、監視委がオリンパスの菊川剛前社長ら証券投資の損失隠しに関与した旧経営陣から近く任意で話を聞く方針であることも11日、明らかになった。金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)に当たるかどうかを精査する見通し。
聴取するのはオリンパスが損失隠しに関与したと説明する菊川氏、森久志前副社長、常勤監査役の山田秀雄氏。3氏への聞き取りは金商法違反の嫌疑を前提にしたものではないが、問題の経緯や複雑な取引内容の説明を求めるとみられる。
第三者委は来週にも、解任されたマイケル・ウッドフォード元社長と連絡をとり、事情を聞く方針だ。
一方、東京地検特捜部は「表面化した情報だけでも、金商法違反に抵触する可能性は否定できない」(幹部)と関心を寄せており、監視委や第三者委の調査を見据えながら、解明に乗り出すもようだ。
オリンパス株の5%を保有する大株主のサウスイースタン・アセット・マネジメントは、パートナーのジョシュ・ショーズ氏が日本経済新聞社の電話取材に応じ、「臨時株主総会を早期に開き、経営陣を刷新することが最優先」と指摘した。株主代表訴訟についても「現時点では決めていないが、可能性を検討していく」という。
オリンパス、株価乱高下、社債は急落。
2011/11/12 日本経済新聞 朝刊 3ページ 515文字 書誌情報
オリンパスの株価はウッドフォード元社長が解任された10月14日以降、8割以上も下落した。11日には投機的な買いで一時上昇に転じるなど値動きが激しくなり、混乱が続いている。投資家の不安心理を映して社債の流通価格は急落。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率は急上昇(信用力は悪化)した。
オリンパス株の11日終値は前日比24円安の460円。10月14日以降の20営業日のうち、株価が上昇したのは2日だけ。不祥事発覚前に6000億〜7000億円前後だった時価総額は1300億円弱まで目減りした。
機関投資家の保有株処分などで売り圧力は引き続き強いが、11日は一時11%高となる場面もあった。空売りしていた向きが利益確定の買い戻しに動いたほか、「短期的な株価反発を狙って個人投資家らが買いを入れた」(立花証券)という。
クレジット市場の反応も厳しい。CDS保証料率は11%を突破し10月初めのほぼ15倍に急上昇した。東京電力の水準(約15%)に近づいている。社債の流通価格は額面100円に対し60〜70円程度に下落しているもよう。社債、CDSとも信用力の急低下を表しているが、取引が低調でブレが大きくなっている面もある。
オリンパス損失隠し――首相、「厳格に対応」。
2011/11/12 日本経済新聞 朝刊 3ページ 122文字 書誌情報
野田佳彦首相は11日夜の記者会見で、損失隠しが発覚したオリンパスについて「不適切な会計処理があったことは誠に遺憾だ。不適切な事例が出た場合には厳格な対応をしなければいけない。日本の金融市場の信頼というものをぜひとも確保していきたい」と述べた。
野村アセット、オリンパス株、16投信で保有。
2011/11/12 日本経済新聞 朝刊 4ページ 241文字 書誌情報
国内運用会社最大手の野村アセットマネジメントは11日、運用中の投資信託を通じて保有しているオリンパス株の状況を公表した。日経平均株価など株価指数に連動するタイプを中心に、合計16本の投信で保有しているという。東京証券取引所が上場廃止基準に抵触する恐れがあるとして、オリンパス株を「監理銘柄(確認中)」に指定したため、情報開示に踏み切った。
純資産残高比でオリンパス株を0・1%以上保有する投信を公表した。株価指数連動型の投信では、9日時点で11本が保有。合計額は約19億円となる。
首相会見の要旨――次世代に豊かさ引き継ぐ、今後も国会で説明。
2011/11/12 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1327文字 書誌情報
野田佳彦首相が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を表明した11日の記者会見の要旨は次の通り。
■冒頭発言
12日から参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPP交渉参加に向けて、関係国との協議に入ることとした。世界に誇る医療制度、伝統文化、美しい農村は断固として守り抜き、分厚い中間層に支えられる安定した社会の再構築を実現する決意だ。
我が国の現在の豊かさを次世代に引き継ぎ、活力ある社会を発展させるためには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れないといけない。情報収集に努め、十分な国民的な議論を経たうえで、国益の視点に立ってTPPについての結論を得ていきたい。
■質疑応答
【TPP】
――TPP交渉では関税撤廃についてどのような戦略で臨むのか。
長い時間をかけてどう段階的に撤廃するのか、例外はあるのかを含めて定まっていない。国益実現へ協議する。
――TPP交渉参加はオバマ米大統領との会談で表明するのか。
TPP関係国との会合で交渉参加の意思を伝えると同時に、日米首脳会談の際にも伝えるなど、関係国にはそれぞれしっかり伝えたい。
――どのように農業を再生するのか。
10月にまとめた「食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」には農地の規模拡大、6次産業化などの項目がある。これに基づいて必要な予算措置を行っていきたい。
――なぜTPP交渉参加の意思を示したうえで、国会での議論に臨まなかったのか。
TPPのメリット、デメリットの問題は審議できた。これからも国会審議で説明していかなければならない。
――民主党のプロジェクトチームでの国会議員同士の議論は非公開だった。なぜ密室での議論にとどめたのか。
国民的な議論に供する工夫を政府内でも与党内でもしていかなければならない。
――安全保障との関係でTPPを論じることが少ない。
貿易立国、投資立国である日本がアジア太平洋地域でフロンティアを開拓していくところに意義がある。これからの日本の存在感について、まず経済を中心に考えた。
――首相は「TPP交渉参加に向けて関係国と協議に入る」とし、ストレートに「交渉に参加する」と表現しなかったが。
協議に入ることは、国益を最大限実現するためのプロセスの第一歩だ。昨年11月にまとめた「包括的な経済連携に関する基本方針」では、TPPについては情報収集のための協議ということだった。その段階からさらに歩みを前に進め、交渉参加に向けての協議と位置付けている。
【消費税】
――消費増税準備法案の見通しは。
6月にまとめた社会保障と税の一体改革を具体化していく中で、野党にも参加してもらって、ぜひ成案をまとめていきたい。2011年度末までに法案を提出することになっているので、その準備をしていきたい。
【オリンパス損失隠し】
――オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題をどのように受け止めるか。
誠に遺憾だ。会計処理については厳格かつ透明にすべきであり、そのことは極めて重要だと考えてきた。不適切な事例が出た場合は厳格に対応しないといけない。金融市場における日本の信頼を確保したい。
【図・写真】記者会見に臨む野田首相(11日、首相官邸)
オリンパス、内視鏡好調の陰で…、「新事業」100社、大半が赤字。
2011/11/12 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1166文字 書誌情報
オリンパスが2006〜08年に約730億円と必要以上に高い金額で買収したアルティス(東京・港)など国内3社に加えて約100社を「新規事業分野」として傘下に持ち、その大半が赤字であることが分かった。オリンパス関係者が明らかにした。世界シェアが7割超で収益力も高い内視鏡事業が着実に伸びる一方、新事業の子会社数も急増。経営の全体像が見えにくくなり、1990年代からの証券投資の損失隠しが表面化しなかった一因になった可能性がある。(1面参照)
「1兆円は社長としての夢」。菊川剛前社長は01年6月に社長に就くと01年3月期の売上高(4667億円)を倍増させるシナリオを描き、内視鏡とデジタルカメラに続く新事業の柱を求めて企業買収を加速させた。
本業と関連薄く
有価証券報告書に記載された子会社・関係会社数が、それを裏付けている。菊川氏の社長就任直前の01年3月期で71社だが、会長になる直前の11年3月期は3倍弱の199社。菊川氏が主導し、本業と関係の薄い会社も積極的に傘下に収めたようだ。その数は、同じ医療機器メーカーであるテルモの連結子会社数(41)の5倍近い。
オリンパスは07年に経営企画本部から独立させる形で「新事業関連会社統括本部」を発足。損失隠しに関わり、8日に解任された森久志前副社長が指揮にあたった。さらに10年5月、多くの新事業子会社を統括するオリンパスビジネスクリエイツ(東京・新宿)も設立して、これら2つの組織を新規事業育成の柱と位置付けた。
新事業関連会社統括本部には、オリンパスが損失先送りに使ったと8日に公表した国内3社が組み入れられている。ビジネスクリエイツにはオリンパスや、情報関連子会社のITXから新規事業に関連するグループ会社を移管。現在は約100社が傘下にあるという。
ビジネスクリエイツ傘下にはペット向けサービス会社やDVD製作会社など、本業の内視鏡やデジカメとの関連が薄い企業も多いもよう。さらに「ビジネスクリエイツ傘下にある100前後の事業会社は数社を除くと、いずれも赤字だ」(菊川氏)。
経営見えにくく
こうした企業を抱え続けられるのは、内視鏡の収益性が高いからだ。11年3月期の医療事業(主に内視鏡事業)の営業損益は693億円の黒字。映像事業(主にデジカメ事業)で出た150億円の赤字や、新規事業の赤字を補い、全体の利益をけん引してきた。
オリンパス元幹部は「収益性が高い内視鏡があるおかげで、新規事業の子会社が赤字を出しても連結業績への影響は小さかった」と指摘する。
ビジネスクリエイツ傘下の約100社は大多数が非上場企業で、外部からは経営内容を見極めにくい。オリンパスは今後、こうした企業群も含めて投資家に目を向けた丁寧な情報開示が必要になってきそうだ。
【図・写真】オリンパス菊川前社長
オリンパス08年の英社買収、現地監査法人も疑義、報酬巡り。
2011/11/11 日本経済新聞 夕刊 1ページ 478文字 書誌情報
オリンパスが2008年に買収した英医療機器製造会社、ジャイラスの決算報告書を巡り、08〜09年度に現地監査法人が疑義を唱えていたことが分かった。オリンパスが投資助言会社に買収の報酬として渡した英社の優先株の計上手法などを疑問視していた。こうした指摘を受けながら、不透明な処理を改めていなかった。(関連記事2面に)
英社は08年9月に優先株(1億7698万ドル)を発行、これが買収の報酬として助言会社に渡った。しかし、6カ月後の09年3月末の英社の財務諸表に計上された優先株の金額は発行時と同じままだった。
これについて、当時監査を担当していたKPMGは「時価評価されていない」としたうえで、「英国会計基準に沿った適切な監査意見を出せない」と指摘。「報告書が適正といえるだけの十分な情報がない」としている。
また、09年7月以降に監査を担当したアーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は10年3月期の決算報告書で、優先株の価格が1年半で発行時の3・5倍に急騰したことを疑問視。「(優先株の保有者である)助言会社の実態について十分な情報が得られない」と指摘した。
オリンパス問題、海外の疑念払拭、金融相が声明文。
2011/11/11 日本経済新聞 夕刊 2ページ 246文字 書誌情報
自見庄三郎金融担当相は11日の閣議後記者会見で、証券投資で損失を隠していたオリンパスの問題を受け、全容解明に向けた取り組みを急ぐとする声明文を発表した。日本企業の経営の透明性に対して海外から批判を受けていることに対応、英文の声明文も同時に公表した。
声明文では「正確な実態解明と迅速な情報開示が行われるようスピード感を持って対応する」と強調。有価証券報告書の虚偽記載などの金融商品取引法違反の疑いについては「証券取引等監視委員会が必要な対応をとっている」と調査に乗り出していることを認めた。
オリンパス、株価乱高下。
2011/11/11 日本経済新聞 夕刊 2ページ 217文字 書誌情報
11日午前の東京株式市場で、前日に監理銘柄に指定されたオリンパスの株価が乱高下した。寄り付き後は前日比49円(10%)安の435円まで下落したが、その後は「値ごろ感からの空売りの買い戻しが優勢」(みずほ証券の瀬川剛エクイティストラテジスト)となり、一時51円(11%)高の535円まで上昇する場面もあった。(1面参照)
短期的な値幅取りを狙った投機筋の買いも入ったとみられる。午後1時時点の株価は前日比4円(0・8%)高の488円。
オリンパス株、ファンド4本が保有。
2011/11/11 日本経済新聞 夕刊 2ページ 155文字 書誌情報
■オリンパス株 国際投信投資顧問は10日夜、運用するファンドのオリンパス株の保有状況を公表した。9日時点で同社株を保有するのは指数連動型のファンド3本など4本で、組み入れ比率は最大0・26%。8日には明治安田アセットマネジメントが、8つの投資信託を通じて保有していたオリンパス株を全て売却したと発表している。
預金水増し、損失隠す、オリンパス、1300億円資産計上――第三者委調査。
2011/11/11 日本経済新聞 朝刊 1ページ 913文字 書誌情報
時価会計導入 機に
オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題で、不正な経理操作の手口が10日、同社の第三者委員会の調査で明らかになった。含み損を抱えた資産を「飛ばし」で切り離し、その一方でオリンパス本体の預金や有価証券を水増し計上する形でつじつまを合わせていた。損失を隠した資産はピークの2005年3月期末には1300億円超に達し、企業買収に絡む支出で穴埋めした。現在までに損失処理は終了したもよう。同社の上場維持を巡る判断にも影響を与える可能性がある。(関連記事3、4面に)
同社は1990年代に財テクに失敗し、多額の含み損を抱えた。01年3月期から導入された時価会計制度で含み損を表面化する必要が生じ、これを逃れるためケイマン諸島に設立したファンドなどに損失を移す「飛ばし」を実施。簿価が同じ金融商品と交換する形で、オリンパス本体の資産を水増しする操作を繰り返した。
具体的には外国銀行預金、債券、「ニュー・インベストメンツ」および「GCニュービジョン・ベンチャーズ」という2つの投資ファンドへの出資金などの名目で貸借対照表に資産計上。これらは大半が実体を伴わない水増し資産とみられるが、決算書に計上し、有価証券報告書でも開示していた。
00年代のIT(情報技術)バブル崩壊などで含み損は増え、オリンパスは企業買収を利用した含み損穴埋めを計画。06〜08年に医療機器メーカー、英ジャイラス買収に絡み、ファイナンシャルアドバイザーへの報酬や優先株の買い戻し資金約690億円、国内3社の買収資金734億円を使って、含み損を処理した。
09年3月期には、経理操作に利用した資産の残高は600億円強に減少した。この時点までに約1000億円の損失を穴埋めし、処理をほぼ終えたもようだ。
オリンパスの監査は09年3月期まではあずさ監査法人が担当し、10年3月期からは新日本監査法人が担当している。
オリンパスの第三者委員会は損失隠しの疑惑解明を進めており、こうした手口の全容を把握しているもよう。12月初旬をメドに調査結果を報告するとしている。これを受けて、オリンパスは11年4〜9月期の決算発表と四半期報告書の提出を予定している。
オリンパス、決算発表を再延期、「監理銘柄」に指定。
2011/11/11 日本経済新聞 朝刊 1ページ 642文字 書誌情報
オリンパスは10日、2011年4〜9月期決算に合わせて作成する四半期報告書を、金融商品取引法で定める今月14日の期限までに提出できない見込みになったと発表した。これを受け、東京証券取引所はオリンパス株が上場廃止基準に抵触するおそれがあるとして「監理銘柄(確認中)」に指定した。さらに1カ月後の12月14日までに提出できない場合、同社株式は上場廃止となる。
金融商品取引法では四半期末(9月末)から45日以内に、監査法人のチェックを受けた四半期報告書を提出する必要がある。オリンパスは当初は8日の発表を予定していたが、いったん延期。さらに8日の記者会見で「(11月)14日にできるよう取り組んでいる」(高山修一社長)としたが、第三者委員会の調査結果を待って発表することにした。監理銘柄に指定されても株式は売買できる。
12月14日までに提出できなければ上場廃止となるため、オリンパスは12月初旬をメドに報告される予定の第三者委の調査結果提出後、四半期報告書の提出を急ぐ。
ただ証券投資の損失隠しが明らかとなっており過去の決算訂正は避けられない見込み。決算書に虚偽記載があったと認定されれば、その影響の大きさによっては再び上場廃止基準に抵触する可能性がある。
東京株式市場ではオリンパスの株価が大幅続落。制限値幅の下限である前日比100円(17%)安の484円で取引を終えた。株式分割を考慮したベースでは1980年4月以来、31年7カ月ぶりの安値で、ストップ安水準で引けたのは3日連続。
オリンパス損失隠し、虚偽記載罪、成立が焦点、地検など解明へ。
2011/11/11 日本経済新聞 朝刊 3ページ 837文字 書誌情報
オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題で、巨額の含み損を「飛ばし」で切り離した上、預金や証券を水増し計上していたことが10日判明した。一連の疑惑を巡っては、東京地検特捜部も関心を寄せており、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)にあたるかどうかが今後の焦点になる。(1面参照)
新たに明らかになったのは、外国銀行の預金や政府短期債券など計4つの資産を水増しして貸借対照表に計上した行為。金融商品取引法は、有価証券報告書の重要な事項について虚偽の記載のあるものを提出することを禁じている。
カネボウ、ライブドアなど意図的に不正な経理操作を加えて利益や資産を過大に計上するケースが後を絶たないため、虚偽記載の法定刑を懲役5年以下、罰金500万円以下(法人は5億円以下)としていた旧証券取引法は2006年に改正され、金商法では懲役10年以下、または罰金1千万円以下(法人は7億円以下)に引き上げられた。
10月中旬、オリンパスによるM&A(合併・買収)を巡る支出を問題視した元社長が解任されて以降、検察当局は事態の推移に重大な関心を示してきた。証券取引等監視委員会は元社長が提出した資料などの分析を進め、警視庁も情報収集を開始。国税当局は疑惑に関係した法人・個人に所得隠しなどがなかったか注目しているもようだ。
複数の捜査・金融当局は既に、事情聴取や聞き取り調査などに向けた準備を進めているといい、今後の解明作業は、特捜部が要となる形で連携して進む可能性が高い。
過去に摘発された虚偽記載事件では、カネボウが02年3月期と03年同期の連結決算で、実際には約800億円の債務超過だったにもかかわらず、資産超過などと偽った有報を提出。06年のライブドア事件は、実際には約3億円の経常損失が発生していた04年9月期の決算に、自社株売却益などを売上高に含め、計53億円を不正計上していた。
【図・写真】ストップ安の484円で取引を終えたオリンパスの株価(10日、東京・八重洲)
オリンパス損失隠し、虚偽記載罪、成立が焦点――東証、悪質性、慎重に審査。
2011/11/11 日本経済新聞 朝刊 3ページ 631文字 書誌情報
東京証券取引所がオリンパス株を監理銘柄(確認中)に指定、上場廃止の恐れが出てきた。損失先送り取引が有価証券報告書の虚偽記載にあたるか、影響がどれほど重大だったかなどを東証は慎重に見極める。
監理銘柄とは、上場廃止基準に抵触する可能性があるとして、取引所が投資家に注意を喚起するための制度。四半期報告書を期限までに提出できないなど形式要件を満たせない段階では「確認中」と注記、虚偽記載など重要な問題が判明した場合は「審査中」とする。
オリンパスは今回、四半期報告書の提出が金融商品取引法が規定する11月14日よりも遅れると申し出たため、監理銘柄(確認中)に指定された。
実際に、上場廃止になるかは今後の状況による。まずオリンパスが今回延期した四半期報告書の開示を12月14日までにできない場合。同社株は自動的に整理銘柄に指定され、1カ月後の来年1月15日に上場が取り消され、取引ができなくなる。
四半期報告書を期限までに提出した場合でも、オリンパスの損失先送りが虚偽記載にあたり、東証が「影響が重大」だと判断すれば、上場廃止になる。東証は金融庁が同社に訂正命令を出したり、同社が自ら訂正を申し出たりしたら審査を開始。処分するかを決める。
機械的に決めるわけではなく、訂正額の大きさ、虚偽記載の期間、手口の悪質さなどから判断する。例えば、旧カネボウは、決算を訂正すると9期連続の債務超過だった。このときは監理銘柄になって上場廃止が決まるまでに6カ月半かかっている。
経営透明度向上へ法改正、上場企業の不祥事受け、政府・民主検討。
2011/11/11 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1296文字 書誌情報
政府・民主党は企業経営の透明度を高めるための方策を改正会社法などに盛り込む方向で検討に入った。証券投資の損失隠しが問題となっているオリンパスや前会長の巨額借り入れが発覚した大王製紙といった上場企業の不祥事を受け、企業統治の強化が不可欠との判断に傾いている。上場会社に「独立社外取締役」の設置を義務付ける案のほかに公認会計士や監査役の機能強化策などが浮上している。オリンパス問題をきっかけに、海外投資家からは日本市場への不信の目が高まっていることに対応する。(1面参照)
民主党は10日、企業統治の強化策を検討する作業部会を設置した。座長の民主党大久保勉参院議員は「日本企業が海外投資家にとって『異質な存在』となってはいけない」と述べた。法務省の法制審議会が会社法改正に向けた試案を取りまとめる12月までに、民主党の提言を策定する方針だ。
自見庄三郎金融相も同日、金融庁の企業会計審議会でオリンパスの問題に言及し「市場の透明性や公平性の観点できわめて遺憾」と指摘。「上場企業は十分に企業統治を発揮することが必要だ」と述べ、企業経営の透明性向上が急務になっているとの認識を示した。
法務省の法制審議会は株式会社の組織形態について議論しているが、産業界の異論が残る社外取締役の選任については、義務化を見送る方向。
日本の上場企業は現在、米欧で一般的な「委員会設置会社」と日本独特の「監査役設置会社」のどちらかの形態をとる。委員会会社は主に社外取締役で構成する「指名」「報酬」「監査」の3委員会を持つ。一方、監査役会社は、監査役の半数以上を社外から招かなければならない。
法制審は新たに、日本独特の「監査・監督委員会設置会社」という選択肢を追加することを議論している。同委員会は社外取締役を中心に構成するなど、委員会会社と監査役会社の折衷案ともいえる内容だ。
これに対して、在日米国商工会議所などは外国企業と同じような制度の導入を求めている。そうした声も参考に、民主党は社外取締役を一律に義務付ける案を検討する。社外取締役の人数や独立性の基準などと併せて議論を急ぐ。
監査法人や監査役の機能強化も検討する。現状では監査法人の選任は取締役会の決議事項となっている。これについては「監査の報酬をもらう相手(取締役会)を厳しく追及するのは難しい」との声もあることに配慮して、政府・民主党は監査法人の選任権限を監査役会に移管する仕組みを提案する見通し。
このほかに金融商品取引法の見直しも論点。オリンパスでは過去の企業買収で異常に高額の手数料が助言会社に支払われていたが、こうした情報は投資家に開示されてこなかった。
経営上の大きなリスクとなり得る情報の開示のあり方などについて議論する。証券取引等監視委員会については、検査に携わる人員の増強などを議論する。
【表】政府与党が検討する主な企業統治向上策
会社法関連 社外取締役の設置の義務付け
監査役の機能強化
金融商品〓取引法関連 企業買収に関する情報開示の充実
取引所規則 上場廃止基準の厳格化
検査体制 証券取引等監視委員会の人員増強
オリンパス損失隠し、銀行団、説明を要請、来週にも会合。
2011/11/11 日本経済新聞 朝刊 4ページ 209文字 書誌情報
オリンパスが巨額の損失を隠していた問題で、三井住友銀行など取引金融機関は来週にもオリンパスと会合を開く。損失隠しの経緯や今後の経営の立て直しに向けた方針などについて、オリンパスの経営陣が直接説明するよう要請している。
オリンパスは損失隠しの発覚に伴い、当初は8日に発表を予定していた決算の発表を延期。来月14日までに発表できなければ、上場廃止になる可能性がある。金融機関側は融資条件の変更などを迫られる可能性がある。
日本の金融株、下落続く、イタリア国債、3メガ銀、2620億円保有。
2011/11/11 日本経済新聞 朝刊 5ページ 626文字 書誌情報
金融市場の動揺が続くなか、日本の大手金融機関の株価下落が続いている。10日の東京株式市場では三井住友フィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループが年初来安値を更新。第一生命保険も年初来安値に迫る水準に下落した。ただ3メガ銀行グループが保有するイタリア国債は2620億円程度。欧米金融機関に比べると少なく、経営への直接的な影響は限られそうだ。
3メガ銀グループはいずれも銀行本体ではイタリア国債を保有していない。2620億円の大半は三菱UFJフィナンシャル・グループの証券会社や信託銀行が保有しているが、満期までの保有を前提にしている。
大手生保9社はギリシャやイタリアなど、債務問題を抱える欧州5カ国向けの債権を1兆円規模で保有している。イタリア国債は日本生命保険が数千億円を保有するとみられるほか、第一生命保険が10月末で400億円を保有する。
イタリア国債の保有額が小さいにもかかわらず日本の金融機関の株価下落が続いていることについて、シティグループ証券の野崎浩成アナリストは「イタリアの財政不安に、オリンパスの投資損失問題が加わり、低迷している」とみている。
欧州金融不安が広がるなか、欧州金融機関との取引を見合わせる銀行も出始めた。
新生銀行の当麻茂樹社長は10日の記者会見で、銀行間取引市場で一部の欧州金融機関との資金取引を見合わせていると表明した。大手銀行もイタリアやフランスに拠点を置く金融機関との資金取引には慎重になっている。
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